城のなごり

消えてなお残る余韻を求めて城跡を訪ね歩く記録です。

春日山城の毘沙門堂


春日山城毘沙門堂です。毘沙門天の熱心な信奉者であった上杉謙信は、出陣前には毘沙門堂に籠り、戦略を練るとともに勝利を祈願したと伝わります。毘沙門天は武神であり、自らをその化身と信じる謙信にとって、ここは特別な場所でした。


建物がほぼない春日山城跡にあって、毘沙門堂は珍しい存在です。1931年に復元され、内部には毘沙門天像が安置されています。


こちらによれば、約50㎝の青銅製の毘沙門天像が安置されているようです。尊像は上杉景勝の時代に会津を経て米沢へ移りましたが、江戸時代末期の火災で被害を受けました。昭和になって名匠・高村光雲高村光太郎の父です)がこれを修理した際に、尊像の欠け損じを体内に収めた分身を造り、当時の春日村に寄進しました。これが祠堂に収められています。


現在の毘沙門堂のお隣(もう一段上)の曲輪には毘沙門堂址の石柱があります。すぐ近くですが、厳密にはここに謙信が籠った毘沙門堂があったようです。


軍神とまで称される謙信ですが、内なる葛藤を抱える生身の人間です。毘沙門堂は常に自己を高めようとしていたことがうかがえる場所であり、謙信の精神的中枢ともいえる場所だったと思われます。

■訪問:毘沙門堂
  (春日山城跡)
[新潟県上越市中屋敷]